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大変、遅くなりました。
新作糞駄文SSになります(爆)

以下、クリック非推奨←オイ!

月の綺麗な夜に読んでくれれば、少しはこの駄文がマシになるかと…。


※修正版に差し替えました。


しかし、おかしい…修正したはずなのに、更に糞駄文になるってなんてバグ?(爆)


 

青い月



 
 
───かれんって、月に似てるわよね。
 
「え?」
 
 かれんは生徒会、こまちは図書委員の仕事で、いつもより遅くなってしまった学校の帰り道。
 夕焼けで紅く染まった桜並木を、こまちと二人、並んで歩くわずかな時間がかれんは好きだった。
 けれど、今日に限っては暗褐色で彩られた道の帰路を急ぐ。
 夕日色で塗られた景色が名残惜しくてたまらなかったが、ひらりふわりと舞い落ちる夜桜の花弁の白さと暗くなった周りのコントラストに一瞬目を奪われ、こんな帰り道でも、たまにはいいかもしれないと思い始める。
 何よりも、隣を歩く親友とのわずかな時間こそが、かれんにとって何よりも愛おしい物だった。
 大切な時間の中、夜空を仰ぐ親友の横顔にふと視線を送り、声をかけようとした口を開きかけた時、こまちの方から唐突につぶやかれた言葉。
 その言葉にかれんは耳を疑い、思わず聞き返してしまったのだった。
 
「だから、かれんは、あの夜空で淡く輝いてる月に似てるわね、って言ったのよ」
 
 夜空にぽっかりと穴を開けたように、淡く蒼い光を放つ月を見上げていたこまちは、薄い微笑みを浮かべてかれんに告げた。
 あまりに突拍子のない言葉だったので、思わず目を数回瞬かせるかれんに、今度はさもおかしそうに笑う。
 
「っ! そんなに笑う事ないじゃない…」
 
「ふふ、ごめんなさい。だって、かれんったらすごく可愛いんだもの…」
 
「何よ! こまちが突然、変な事言い出すからでしょ! もうっ!」
 
 かれんは頬を紅潮させ、そっぽを向くが、それでも笑いをやめない。
 隣から聞こえる、ころころと笑う声にいつしかかれんも可笑しくなってくるが、ここで一緒になって笑ってしまうのもなんだかくやしいので、それを誤魔化すため空を仰いだ。
 
 仰いだ先は、暗黒に彩られた闇の世界。
 闇の中に散りばめられた光る砂は、自らの存在を決して飲み込まれないように必死で、輝きを放つ。
 闇が支配する空の中、まるで、周りの小さな光を励ます希望の光。
 淡い光だが、その輝きを弱めることは決してしない強い存在。
 だが、その強い存在をかれんは、異質だと思った。
 
(ああ、確かに私に似てるわね)
 
 ぽつりとこぼれ落ちた感情を吐き出すように、かれんは溜息をついた。
 空に広がるのは、闇に染まった世界。
 周りが全て闇の中で、輝く強い光は、異質な存在。
 たった一つだけ、反発している。
 一人ぼっちの、寂しい月。
 月の周りの、小さな星達は、決して『自分』と同一ではない。
 星達は、世界と同調して同じになろうとしているからこそ、光を小さく小さく放っている。
 だから、月はいわば、世界から取り残された浮いた存在。
 
 きっと、こまちもそんな風に見ていたから、似てるなんて言葉を出したのだろうと、自嘲気味に口元を歪めたかれん。
 だが、そんなかれんの悲観的な様子に全く気付かずに、次にこまちの口から零れた言葉は…。
 
「ね? とても綺麗でしょう」
 
「は?」
 
「は? って、かれん~。さっきから私の言葉ちゃんと届いてる?」
 
 むぅ…と眉間に皺をよせ、ぽかんとしているかれんの額をこまちは軽く指で弾く。
 
「痛っ! き、聞こえてるわよっ!」
 
「そう? ならいいけど…。かれんったら私の言った事を聞き返してるでしょう?」
 
 呆れた表情を浮かべている親友。
 だが、彼女は今自分に向って何と言ったのか…。
 
───とても綺麗でしょう
 
 そう、確かにそう言った。でもそれは、月の事であって…。
 その月が私に似ていると言っていたのは、他でもない今目の前にいるこまちで…。
 そこまで考えて、かれんは顔を真っ赤に染め上げていく。
 
「か、かれん!? ご、ごめんなさい、そんなに痛かったの!?」
 
 見る見る顔を赤らめるかれんの様子に、こまちは勘違い全開の解釈をして慌てて近寄る。
 
「ち、違う! 違うから! えっと…その、ど、どうしてそんな事言うの?」
 
「え? だって、私が弾いた額が痛かったんでしょう?」
 
「だから、違うわよ! そ、そうじゃなくて…」
 
「かれん?」
 
 すっと、手を下ろし俯くかれん。
 その様子を静かに見つめるこまちに、ぽつりとかろうじて聞こえる声音で告げた。
 
「てっきり、一人で寂しそうに輝いてるからって…言われると思ったのに」
 
 その言葉に、こまちはかれんが何を言おうとしていたのかようやく理解する。
 目の前で、捨てられた子犬のような瞳をしているのを彼女は自覚しているのだろうか? とこまちは思う。
 ああ、全くどうしてこんなにも愛おしいのだろう、この人は───。
 込み上げる感情を落ち着かせるように、こまちはゆっくりと肺に空気を送り込む。
 桜の香りが鼻腔をくすぐり、身体の隅々に行きわたる。
 それはまるで、全身から溢れるかれんに対する感情そのものだった。
 
「かれん…」
 
 ひんやりと、冷たい声色を装い、彼女の名を呼ぶ。
 かれんは、びくりと身体を震わせ、自重気味に口元を歪ませて、ゆっくりと顔をあげる。
 その途端───。
 
パチンッ!!
 
「っ!?」
 
 小気味よく鳴らされた音と共に、叩かれたかれんの両頬が赤くなっていく。
 熱を感じる。
 だが、熱は叩かれたそのせいだけでなく…。
 
「こまち…」
 
「馬鹿ね…本当に馬鹿だわ。そんな事思ってたの?」
 
 じわりと頬から伝わる熱は、頬を挟んだ両手から伝わるもの。
 かれんの頬を両手で包みこんだままの、こまちの熱。
 
「確かに、かれんの言う通り月は一人で寂しそうに見えるわよ? でも、知ってる?」
 
 ふわりと微笑み、ぐいっとかれんの顔を空へと仰がせる。
 
「一人じゃあんなに輝けないのよ?」
 
「あ…」
 
 二人揃って見上げる姿を、柔らかく照らす銀の光。
 そう、月は一人きりで輝いている訳でなく…。
 
「太陽の光で輝いているんだったわ…」
 
 ぽつりと呟かれるかれんの言葉。
 染み入る光を体に浴びて、今更その事実に気づいた彼女から、するりと、舞い落ちる夜桜のようにこまちの熱が離れていく。
 名残惜しくて、追いかけるかのようにゆっくりと視線を向ければ、こまちは自嘲気味に笑っていた。
 
「もう、今更気づくなんて遅いわよ?」
 
「え?」
 
 そう言って、くるりと背を向ける彼女はどこか気恥ずかしそうな様子に見えて、かれんは思わず首をかしげてしまう。
 
「だから、その…私が…なれたらいいなって…」
 
「こまち?」
 
 背を向けたまま言ったこまちの言葉は、肝心の部分が聞き取れなかったが、かれんは背を向けたこまちの隠しきれなかった耳が赤く染まっているのを見た。
 その瞬間、目の前の親友が言った言葉を理解すると、今度はかれん自身が全身から立ち上ってくる熱に支配される番となった。
 
「あ…う…そ、その。こまちは太陽に似てるわよ! そう! 太陽そのものよ!」
 
「っ! そ、そんなおこがましい事思ってないわ! た、確かにそうなれたらいいなって思ったけどっ!?」
 
 慌てて向き直ってしまったこまちは、顔を紅く染め上げていて…振り向いた先にいた親友も自分と同じ、いや自分以上に赤く、まるでゆでだこの様に赤くなった顔。
 
『………ぷっ、あははははは!』
 
 互いに互いの赤い顔を見合わせると、二人は同時にどちらからともなく声を上げて笑った。
 
「あははは、ねえ、こまち…」
 
「ふふふ、ん? なあに?」
 
「あのね、本当に思ってるのよ?」
 
「え?」
 
 目尻から流れそうになる涙を、笑いながら指でぬぐい去るこまちに、かれんはにっこりと笑顔を向ける。
 
「確かに一人じゃあんなに輝けないわ。太陽…ううん、こまちが居てくれるから、照らしてくれるから、私、輝けるのね」
 
 それでも最後は照れ臭そうに、はにかんでしまったかれん。
 そんな、かれんにこまちはたまらず距離を詰める。
 
「こま───」
 
 再び訪れた両頬に伝わる熱。
 両手でかれんの頬を包み込み、こまちは太陽のように輝く微笑みを浮かべると軽く背伸びをして───。
 
 額に訪れる柔らかい熱。
 
 一瞬だったが、感じた熱にかれんは驚き、目を見開けば彼女自身を照らす太陽のまぎれもない告白。
 
「太陽から月への贈り物よ」 
 
 青く輝く月は、更に輝きを増す。
 太陽の祝福を受けて、強く強くその輝きで柔らかく暗い世界を照らす微笑みの様に───。
 


fin


 
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コメント
無題
別館設立おめでとうございますジークこまかれ!(←挨拶)

うはぁあぁあぁぁ こ れ た ま ら ん 。
やっぱり、やっぱりうりぼうさんの文章大好きです。キュンキュンです!
私の大好きなこまかれ、こまちとかれんがいる・・・生きてるよ・・・

仮設立ということですが、サイトからリンク貼っても大丈夫でしょうか?
この萌えをひとりでも多くのこまかれファンと分かち合いたいのですが・・・!
【2009/04/12 20:44】 NAME[えんどう さや] WEBLINK[URL] EDIT[]


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